生きる力 〜 注29

公開: 2020年4月17日

更新: 2020年4月17日

注29. アリストテレス

アリストテレスは、古代ギリシャの哲学者です。古代ギリシャのマケドニアに生まれ、ギリシャ、エジプト、ペルシャ、から西インドまでを勢力に入れた、アレキサンダー大王の家庭教師を務めた人です。

アリストテレスが同じ時代の他の哲学者と異なるところは、他の哲学者が古代ギリシャの文化に根ざした考え方に基づいてものごとを考えたのに対して、アリストテレスは、ギリシャ世界にしばられずに、もっと大きな視野でものごとを考えたことです。

例えば、「何が正しいのか」を考えるとき、他の古代ギリシャの哲学者たちは、「ギリシャ人としてどう考えるべきか」を判断の基本として「正しさ」を議論しました。それは、「ギリシャ的善」に基づいた考えと言えます。

それに対して、アリストテレスは、「絶対的な善」は存在しないとして、時代や場所によって変わるかもしれない「正しさ」を考えに入れた「善」について議論しました。そのことから、世界のどこに行っても通用する「善」を考えようとしました。

アリストテレスは、ギリシャ的な善と、エジプト的な善、ペルシャ的な善が異なることを考えに入れて、人間が思い描く理想的な行為の例から、特別な場合に当てはまる例を取り除き、どのような場合にも当てはまる規則を見出して、それに当てはまるものを「本当の善」とすることを教えました。

これを「真ん中を選ぶ」と言う意味で「中庸」(ちゅうよう)と言います。それは、極端な例をとりのぞくことで得られるものであり、どこでも、誰でもが、「良い」と言えるものです。・アリストテレスの教えを受けたアレキサンダー大王は、そのやり方を実践することで世界制覇をしました。

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